血栓症から生還した猫の話

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普段は3DCG(Blender、Unreal Engineなど)や自作PC関連の記事を書いていますが、今回は訳あって、猫に関する記事を書かせていただきます。

はじめに

先日うちの猫(スコティッシュフォールド・9歳♂)が、肥大型心筋症によって血栓症(動脈血栓塞栓症)・肺水腫にかかり、一時両足が動かなくなってしまいました。

1時間後に夜間救急で応急処置をして、6時間後にかかりつけの病院で検査・入院して血栓溶解剤での治療を行った結果、2日後には立てるようになり、4日後には退院することができました。

血栓症は死亡率が高くて難しい病気ですが、早く病院に連れて行って治療を行えば助かる可能性がありますので、少しでも多くの猫と飼い主さんに助かってもらいたいという思いで、この記事を書きました。

注意:本記事はあくまでも私の猫に起きた症状・経過および先生の処方を、飼い主目線で書いたものです。猫の血栓症の症状・治療法については、獣医師の先生等に直接お尋ねいただくか専門書を参考にしてください。

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猫の肥大性心筋症と血栓症について

猫の血栓症は、肥大性心筋症によって引き起こされることが多い病気です。

肥大型心筋症は特に純血種の猫に多く見られ、例えばメインクーンやラグドール、アメリカンショートヘアでは家族性に発症する遺伝子疾患であると知られています(「ダクタリ動物病院」さんの記事より)。

肥大型心筋症にかかると、心筋が厚くなって左心室が狭くなりポンプ機能がうまく機能しなくなってしまいます(「さがみはらねこの病院」さんの記事より)。

肥大型心筋症が引き起こすのが血栓症(動脈血栓塞栓症[そくせんしょう])です。

左心房で血液の逆流が生じ、心臓内で形成された血栓が剥がれて血管に詰まります。最も一般的な発生部位は左右の足の付け根です(「杉並動物循環器クリニック」さんの記事より)。

血栓症は治すのが難しい病気で、特に両足に起こった場合は予後が悪く、生存率は30〜40%程度だといわれています(「大塚駅前どうぶつ病院」さんの記事より)。

回復した後は、再発率が高いため薬物による血栓予防を行っていく必要があり、また命が助かった場合も、足が壊死してしまうこともあるため、断脚が必要となることもあります(「杉並動物循環器クリニック」さんの記事より)。

うちの猫のケース~発症前

うちの猫はスコティッシュフォールドで、現在9歳の男の子です。

約3年前にレントゲン検査で心筋症の疑いがあると診断され、その後継続的に薬の処方を続けていました。

心拍数を下げる薬と血管拡張薬(薬の名前は控えていませんでした)を服用していましたが、今年の4月末の健康診断で心筋症の悪化が確認され、血管拡張薬が変更され(アムロジピン)、利尿薬(スピロノラクトン)が新たに追加されました。

発症時

土曜日の未明の3時過ぎに突然、猫の鳴き声で目が覚めました。

最初は甘えているのかと思い、撫でて落ち着かせてまた寝ようとしましたが、苦しそうな鳴き声で訴えてくるので、「様子が変だ」と思いました。

鳴き方が、数日前に毛玉を吐く前に聞いた「オェ~」という声に似ていたので、「大丈夫?」と声をかけながら少しの間猫の背中をさすっていましたが、猫の呼吸が普段よりも2倍くらい早くて浅く、その様子に心配を覚えました。

しばらくたって、異変を察知した妻が起きてきて後ろ足を握ったところ、普段は猫は嫌がるはずの状況でしたが左脚が全く反応せず、冷たくなっているのに気がつきました。

その後、猫は立ち上がろうとしましたが、左脚に全く力が入らず、右脚もあまり力が入らない状態で引きづっている状態でした。インターネットで血栓症の典型的な症状であることを確認し、速やかに病院に連れて行くことを決断しました。

最初にかかりつけの動物病院に電話しましたが、夜間のためつながりませんでした。

しかし幸いなことに、少し離れた場所(車で3,40分くらい)にある動物医療センターに電話をしたところ、数年前に別の病気で治療を受けたことがあるため、受け入れてもらえることになりました。

動物医療センターでの初期治療

病院に着いてから、猫はレントゲンとエコーの検査をしてもらいました。

レントゲン検査の結果、血栓症だけでなく肺水腫もあると診断され、注射での治療を行うことになりました。

待合室で過ごしている間、血栓症についての情報をインターネットで調べましたが、血栓症は猫にとって非常に深刻な病気であり、予後が極めて悪いことが書かれていましたので、お別れを覚悟しなければいけないと思いました。

動物医療センターでは、以下の注射を打ってもらいました。

  • 抗血栓薬
  • 降圧剤
  • 血管拡張薬
  • 利尿剤

血栓溶解剤での治療のため動物医療センターで入院させるかどうか聞かれましたが、同じ治療が近くのかかりつけの動物病院で受けられるならばそうしたいため、まずは朝一でかかりつけの動物病院に電話して相談することを決めました。

夜間診療だったこともあり、診察や治療には約3万4千円かかりました。

ちなみに家に着いた後、利尿剤の影響でケージの中でお粗相をしてしまっていることに気づきました。

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入院・血栓溶解剤での治療

帰宅後、猫は自力でトイレに行こうとしたものの後ろ足はいまだに動かず、トイレの中でうずくまってしまっていました。

朝8時すぎにかかりつけの動物病院と電話が繋がり、状況を説明して8時半頃に病院に連れて行きました。

救急病院の先生が書いてくださったメモを病院に提出し、猫の状態と初期治療の内容を説明しました。

動物病院でも、レントゲンとエコーの検査を受けました。

肺水腫は動物医療センターでの注射のおかげで改善していましたが、エコーの結果、依然として足の血流が止まっていました。

先生からはいくつかの治療選択肢が提示されました。

まず、外科手術による血栓除去がありましたが、これには遠方の大きな病院への紹介が必要であり猫にとって負担が大きいと考えたため、選択肢から外しました。

次に、血栓溶解剤による治療と抗血栓薬による薬物治療が選択肢として挙げられました。

血栓溶解剤による治療は約一週間の入院が必要で、その費用は入院費を合わせて約20万円程度になると説明されました。

考えた結果、最も助かる可能性が高そうな血栓溶解剤と抗血栓薬の治療を選択することにしました。

先生からは、血栓溶解剤を何日かに分けて投与すると伺いました。

しかし、医師からは治療をしても助からない可能性もあることを率直に伝えられました。

治療開始から2日後

治療が始まってから2日間、病院からは特に連絡がなく、私たちは猫がいなくなり静まり返った家で、心配で疲れ切ったまま時を過ごしました。

その間、猫の火葬について調べたり、後遺症が残った場合のためのおむつやトイレをどうするかについても調べました。

月曜日の朝、病院に電話して猫の状態を尋ねました。

すると、驚くべきことに、猫は自力で立ってもりもりとご飯を食べているとのことでした。

この知らせに、私たちは少しホッとしましたが、まだ心配が完全に消えることはありませんでした。

月曜の夕方、病院に面会に行くと、猫の肉球はピンク色に戻り、自分の脚で歩くことができるようになっていました。

ただし、一度止まっていた血管に血液が戻ることで、溜まっていた有害な老廃物が一気に流れて臓器の障害を起こす「再灌流障害」の可能性があるため、水曜の昼まで入院して経過観察をすることになりました。

水曜の昼に再び病院を訪れたところ、幸いなことに順調に回復しており、無事退院できることになりました。

迅速に治療していただいた動物医療センターとかかりつけ病院の先生、猫を励ましつづけてくれた妻、そして足かけ5日にもわたる入院を耐え切ってくれた猫本人には感謝しかありません。

退院後の経過・処方薬について

退院して車で家に帰る途中、猫は「また別の病院に連れていかれるのか」と不安になったのかかなり激しく鳴いていましたが、我が家に帰ってくるとほっとした様子でした。

帰ってきたその日は、ときどき左脚がすべるような動きをしていたので後遺症かと心配しましたが、本人がリハビリ(家の中のパトロール)に励んだ結果か、2日後には正常にもどりました。

また、病院の先生からは、(心臓への負担を避けるために心拍数が上がらない範囲で)脚を動かすことと、マッサージで血行を良くすることを勧められました。

病院での治療費ですが、検査費・入院費全部込みでギリギリ20万円には収まりました。

また、今後血栓症の再発を防ぐために抗血栓薬が追加され、以下5種類の薬を継続的に服用することになりました。

  • クロピドグレル 抗血小板剤
  • アテノロール 血圧降下薬
  • ベナゼプリル 血圧降下薬
  • ピモベンダン 心不全治療薬
  • ルプラック 利尿剤

薬代は1ヶ月で2万2000円程度とかなり高額なので、今後は少しでも猫と暮らしていくために、仕事と家計の節約を頑張っていこうと思います😅

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まとめ

今回、幸いなことに猫が血栓症という死地を乗り越えて無事生還してくれました。

この経験から、健康管理の重要性を再認識し、猫との時間を大切にすることを改めて決意しました。

猫の飼われている方には、「血栓症は、難しいけれど治る可能性がある」ということを認識していただき、少しでも助かる可能性を上げるために、普段から以下の準備・対応をしておくことをおすすめします。

  • 健康診断を毎年受けて肥大型心筋症の診断を早めに受ける。
  • 夜中・休日も緊急対応してくれる獣医さんを普段から把握しておく(できれば複数)。
  • 猫の異変に気付けるよう、普段から猫とコミュニケーションをとり、様子をよく観察する。
    • 妻が日ごろからよく話しかけていたからか、うちの子はおしゃべりに育ちました。

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