【3DCG用自作PC】RTX3050レビュー~Cyclesレンダリング&ゲーム性能チェック

2022年2月19日

こんにちは、私は普段無料の3DCGソフト「Blender」を使って作品作りをしております。

ですが、もともとパソコンの自作が趣味で、PCパーツや周辺機器に目がない人間なので、PC関係の記事も時々書いていきたいと思います。

今回は、最新のグラフィックボード(グラボ)Nvidia GeForce RTX 3050を購入したので、Blenderでのレンダリング性能やゲーム性能の比較について、レビューしたいと思います。

ご意見・質問等はクララのTwitter(https://twitter.com/klala_lab)まで(^^)/

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RTX3050の基本情報

まず、今回購入したRTX3050の基本情報について紹介します。

Nvidiaの最新のラインナップ「RTX3000シリーズ」の中で、最も性能が低く安価なGPUになります。

(安価と言っても、最新の実売価格は5万円程度するので、ライトユーザーには手が出せませんが…。)

「RTコア」を搭載することで、「リアルタイムレイトレーシング」に対応しており、最新のゲームでも目安である60FPS(フレーム毎秒)で遊べるそうです。

RTX3050基本情報

発売日:2022年1月27日

定価(日本):¥39,800

実売価格:\50,000前後~\60,000台(2022年2月6日現在)

NVIDIA アーキテクチャ:Ampere

メモリ: 8GB GDDR6

消費電力: 130W

NVIDIA社 HP(https://www.nvidia.com/ja-jp/geforce/graphics-cards/30-series/rtx-3050/)より

2022/2/10現在、Amazonでも5万円前後の物が販売されており、在庫は比較的潤沢と思われます。

Amazonプライムデーなど、タイムセール期間を狙うと通常より安く買えるかもしれませんね。

Palit RTX3050 Storm X について

つぎに、私が購入したグラボを紹介します。

RTX3050を搭載したグラボが各メーカーから発売されていますが、私はPalit社(本社:台湾)製の「RTX3050 Storm X」というモデルを購入しました。

Palit RTX3050 Storm X 製品ページ:GeForce RTX 3050 StormX

ドスパラ製品ページ:Palit NE63050019P1-190AF (GeForce RTX 3050 StormX 8GB)

こちらのように、ファンが1個だけ付いた長さが短いモデルになります。

ファンの直径は10cmと、私がこれまで使ってきた、下図右のGTX1650(MSI GeForce GTX 1650 D6 AERO ITX OCV1)と比べて少し大きいです。

端子はHDMI×1、DP(Display Port)×3あり、同時に4画面への出力が可能です。

コストダウンのためか、裏面を保護するバックプレートはありません。

補助電源は8pin×1です。消費電力は130Wなので、私が使用している550W電源で容量は足ります。

ちなみにこちらのグラボですが、たまたま発売初日にドスパラで定価の\39,800で売っているのを見つけて購入することができました。

余談ですが、RTX3050については、初回入荷品のみ\39,800円で販売されるモデルがありましたが、今後は価格が引き上げられるそうです<参考記事>…。
RTX3050はゲーム性能的にはGTX1660Ti~RTX2060相当なので、2020年のグラボ価格の水準に照らし合わせると、本来3万円台前半~半ばが妥当と思われます。
とはいえ、半導体不足等やコロナでのゲーム需要増加、マイニング需要等の情勢を考えると、グラボ価格が元の水準に戻るのは何年もかかる可能性があります。
したがって、しばらくは欲しいグラボを手に入れるために、高額な出費を覚悟せざるを得ない状況が続きそうです…😢

【2022年2月19日追記】

「\39,800円の定価販売は初回だけ」だと思っていましたが、2/19 朝9時頃にドスパラさんの通販サイトを確認したところ、定価品の在庫が復活していました!

しかも、Twitterの他の方の書き込みによると、前日にも朝8時に在庫が復活していたようです。

今後も同じタイミングで在庫が復活する可能性がある(ただし憶測ですが…)ので、購入を検討されている方は定期的にチェックされると良いかと思います。

ドスパラHP: https://www.dospara.co.jp/

https://twitter.com/klala_lab/status/1494821249184600065

他のGPUとのスペック・価格比較

RTX3050は、エントリークラス~ミドルクラスに位置づけられるGPUです。

他のエントリークラス~ミドルクラスのグラボ(2万円台~7万円前後の価格帯)のグラボと比較してみました。

他のレビュー記事等を見ると、性能的にはRTX2060以下でGTX1660Tiに近いそうですが、RTX3050には以下の強みがあります。

  • 最新世代のRTコアを搭載しているので、レンダリング性能が高い。
  • メモリ容量が8GBあり、GTX1660Ti(6GB)よりも多い。
  • RTX2060と比べると消費電力が低く、価格が安い。

一方、上位機種のRTX3060と比べると、コア数は7割程度に抑えられています。

また、メモリ帯域幅が抑えられていたり、PCIe接続がx8だったりと、コア数以外のスペックも価格が安い分控えめになっています。

 Nvidia GeForce     参考 AMD Radeon 
 RTX 3060RTX 3050RTX 2060GTX1660TiGTX1660GeForce GTX 1650 – GDDR6RX6600RX6500XT
アーキテクチャAmpereAmpereTuringTuringTuringTuring
CUDA® コア358425602176 / 1920153614088961792(ストリームプロセッサ数)1024(ストリームプロセッサ数)
Tensorコア数112(第3世代)80(第3世代)240(第2世代)28(Compute unit)16(Compute unit)
RTコア数28(第2世代)20(第2世代)30(第1世代)
ベース クロック (MHz)132015501470 / 1370150015301410
ブースト クロック (MHz)178017801650 / 168017701785159024912815
標準メモリ構成12 GB GDDR68 GB GDDR612 GB GDDR6 /6 GB GDDR66 GB GDDR66 GB GDDR54 GB GDDR68 GB GDDR64 GB GDDR6
メモリ速度15Gbps14Gbps 12Gbps12Gbps12Gbps14Gbps18Gbps
メモリ インターフェイス幅192 ビット128 ビット192 ビット192 ビット128 ビット128 ビット128ビット64ビット
メモリ帯域幅360GB/s224GB/s 288GB/s192GB/s192GB/s224GB/s144GB/s
PCI Express Gen 4 (x16接続)Gen 4 (x8接続)Gen 3 (x16接続)Gen 3 (x16接続)Gen 3 (x16接続)Gen 3 (x16接続)Gen 4 (x8接続)Gen 4(x4接続)
最大デジタル解像度7680×43207680×43207680×43207680×43207680×43207680×4320 7680 x 4320 7680 x 4320
マルチ モニター444対応対応対応42
グラフィックス カード電力 (W)170130185 / 16012012075132107
システム電力要件 (W) (4)550550550 / 500450450300450400
補助電源コネクタPCIe 8 ピン x1(12 ピン x1 アダプターが付属)PCIe 8 ピン x1PCIe 8 ピン x1PCIe 8 ピン x1PCIe 8 ピン x1対応(PCIe 6 ピン x1 or なし)PCIe 8 ピン x1PCIe 6 ピン x1
希望小売価格¥49,800\39,800(日本)
$249(米国)
    $329$199
実売価格7万円前後~5万円前後~5万円台後半~5万円台前半~3万円台後半~2万円台後半~5万円台後半~3万円~

グラボの交換

グラボの交換手順については、こちらの記事にまとめましたので合わせてご覧ください。

【3DCG自作PC】グラボ交換手順まとめ

ベンチマーク

Blenderのベンチマークを中心に、期待通りの性能が出るかをテストしていきたいと思います。

テスト環境

テスト環境はこちらです。

B460チップセットはPCIE3.0x8接続になってしまう(はず)なので、期待した性能が出るか少し不安があります😓

パーツ型番
CPUIntel Core-i5 10400F (10世代)
マザーASUS TUF GAMING B460M PLUS
メモリDDR4-2666 32GB
電源550W (玄人志向 KRPW-550W/85+)
OSWindows 10

自作PCのパーツ紹介と簡単なベンチマークについては、こちらの記事にまとめたので合わせて参照ください。

自作PCの組み立て方法については、こちらの記事で紹介したので興味があればぜひご覧ください!

Blender benchmark(GTX1650 & Open Dataとの比較)

3DCGソフト「Blender」公式のベンチマークを使用して、6個のCGファイルをレンダリングするのにかかる時間を計測しました。

ベンチマークに使用するアプリケーションは、こちらからダウンロードできます。

https://opendata.blender.org/

アプリケーションを起動すると、こちらのように使用するデバイス(CPU or GPU)およびレンダリング方法(Nvidia GPUの場合はCUDAとOptix、AMDの場合はOpen CLのみ)を選択することができます。

「Start benchmark」を選択すると、こちらのようにレンダリング時間の計測が行われます(ただしレンダリング結果は見ることはできません。)

すべての計測が完了すると、こちらのように計測結果が出力されます。

ちなみに、Blender公式サイトの「Open data(以下リンク)」から、各種グラフィックボードのレンダリング時間を参照することができます。

https://opendata.blender.org/benchmarks/query/

今回はOpen dataのレンダリング時間も参照し、「PCIe 3.0 x8環境で、Open dataと同じレンダリング速度が出るか」「他のGPUとの性能差」についても検証しました。

計測結果

RTX3050とGTX1650のレンダリング結果を表1の1~4行目に、5行目以降にOpen dataの値を示します。

所々値が抜けていますが、計測不能(私の環境では、GTX1650 Optixの「Victor」がエラーになってしまいました…。)もしくはRTX3050のOpen dataがまだ揃っていないためです。

表1の下にある表2は、RTX3050のレンダリング時間に対する、他のGPUのレンダリング時間の比をとったものです(<100%の場合はRTX3050より速い、>100%の場合は遅い)。

また、表1の結果を、図1~7に棒グラフで示しました(図1は6つの合計時間、図2~7は各ファイルのレンダリング時間)。

まず、RTX3050の計測結果とOpendataの比較から、私のPCIe 3.0 x8環境でも、ほぼOpendataと同じレンダリング速度が出ていることがわかります。

また、「RTX3050(Optix)」と「RTX3050(CUDA)」の比較では、RTXの性能を活かすことができる「Optix」でレンダリングした方が2倍以上レンダリングが高速になっています。

Nvidia公式の記事にも、「RTXグラフィックボードとOptixにより、BlenderのCyclesレンダリングが高速化される」といったことが書かれています。
https://blogs.nvidia.co.jp/2019/12/24/creative-apps-rtx/

さらに、他機種との比較では、さすがに同世代で上位のRTX3060には及びませんが、旧世代で上位のRTX2060と同等以上、GTX1660Tiの2倍近く高速になっています。

したがって、5万円前後のグラボの中ではRTX3050はレンダリング性能が最も高く、おススメです。

[2022/2/11更新] 旧世代のミドルレンジグラボであるRTX2070 SuperとRTX2060 Superのデータを追加しました。
RTX2070 SuperはRTX3060と同等程度の性能で、RTX3050と比べると30%程度速いです。
RTX2060 Superとの比較では、シーンごとに差はあるものの合計レンダリング時間はRTX3050とほぼ同じでした(Optixを使用した場合)。
したがって、RTX3050のレンダリング性能はRTX2060 Superと同等と言えます。

表1:レンダリング時間まとめ
表2:レンダリング時間比較
図1:合計レンダリング時間
図2:BMW27
図3:Classroom
図4:Fishy cat
図5:koro
図6:Pavilion Barcelona
図7:Victor

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ゲーム性能(GTX1650との比較)

私自身は普段ゲームはやりませんが、RTX3050とGTX1650ゲーム性能のベンチマーク比較を載せておきます。

3DMark (Time Spy, Night Raid, Fire Strike)

3DMarkは、PCのグラフィック性能をベンチマークするアプリケーションです。

使用するには、Steamから「3DMark Demo」をDLする必要があります。

詳しい方法は、こちらの記事を参照ください。

無料で使える、「Time Spy」「Night Raid」「Fire Strike」の3つについてGTX1650とRTX3050を比較しました。

以下のように、GTX1650と比べて+21~53%の性能のアップを確認できました。

FF14 Bench

定番のベンチマークソフトのFF(Final Fantasy)14ベンチマークで、GTX1650とRTX3050を比較しました。

「最高設定」と「高設定」について確認しました。

グラフィックはすべてフルHD(1920 x 1080)です。

「最高品質」ではRTX3050のスコアがGTX1650に比べて41%高くなっています。

「高品質」では差が少し縮まりましたが、おそらく描画負荷が下がり、CPUがボトルネックになったためと思われます。

FF15 Bench

FF14と同じシリーズですが、こちらも定番のベンチマークソフトのFF15ベンチマークで、GTX1650とRTX3050を比較しました。

「高品質」「標準品質」「軽量品質」について確認しました。

グラフィックはすべてフルHD(1920 x 1080)です。

FF14と比べて描画負荷が高いからか、性能差は50%前後出ています。

RTX3050は高品質・標準品質で「快適」、軽量品質は「とても快適」と判定されたので、フルHDであれば快適にゲームプレイできそうです。

参考:RTX3050のゲーム性能のベンチマーク比較サイト

こちらのサイトでゲーム性能をベンチマーク・他機種と比較されているので、ゲーム性能を詳しく知りたい方は参考にしてみてください。

ちもろぐさん 「RTX 3050ベンチマーク & レビュー:今更GTX 1660 Superと同等性能・・・?」

The比較さん 「GeForce RTX 3050 のベンチマーク」

https://thehikaku.net/pc/game/22geforce-rtx3050.html

PC Watchさん 「“3万9,800円から”のGeForce RTX 3050の実力を試す」

https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/hothot/1383245.html

ASCII.jpさん 「Ampere世代の“50番台”GPU、GeForce RTX 3050をレビュー! 低コストにDLSSを導入できるGPU」

https://ascii.jp/elem/000/004/081/4081592/

自作とゲームと趣味の日々さん 『「MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G」をレビュー』

https://jisakuhibi.jp/review/msi-geforce-rtx-3050-aero-itx-8g

温度

Blender benchmark中にフリーソフト「Openhardware monitor」を使用して、計測したGPUコア温度を比較してみました。

こちらのように、RTX3050使用中の最高温度は64℃と、GTX1650のときと同じでした。

したがって、PalitのRTX3050グラボ「RTX3050 StormX」の冷却は問題なさそうです。

実際にBlenderで使ってみた!

最後に、Blender 3.0のCyclesで、実際にレンダリングにかかる時間を比較してみました。

BlenderでGPUレンダリングする設定

BlenderでGPUを使ってCyclesのレンダリングを実行するには、こちらの2か所の設定が必要です。

①「編集」→「プリファレンス」→「システム」で、以下のように「Optix」(使用するデバイスによってはCUDAまたはHIP)を選択し、使用するデバイスにチェックを入れ、プリファレンスを保存します。

②画面右下の「レンダープロパティ」で、デバイスに「GPU演算」を設定します。

レンダリング速度(Cycles)~GTX1650との比較

こちらのシーン(ポリゴン数730万▽)のレンダリングにかかる時間を計測してみました。

レンダリングはすべて「Optix」で行い、「GTX1650(CPU+GPU)」「RTX3050(CPU+GPU)」「RTX3050(GPUのみ)」について計測しました。

レンダリングに使用したPCのスペックは、先ほど示した「Blender benchmark」のときと同様です(CPU:Core i5-10400F、メモリ32GB)。

結果を以下の表・グラフに示します。RTX3050を使用した時は「GTX1650(GPU+CPU)」と比べてレンダリング時間が半分以下になっています。

ただし、CPUとGPUを組み合わせた場合に、GPUのみでレンダリングした場合と比べて2秒遅くなってしまいました。

これは、CPUのレンダリング性能がGPUと比べて低く、足を引っ張ってしまったためと推測されます。

したがって、RTX3050をレンダリングに使用する際は「GPUのみ」でレンダリングを行うのがおススメです。

(レンダリングしている間に、CPUを使って他の作業ができますね。)

ちなみに、Core-i5 10400FとGTX1650の組み合わせの場合、CPU+GPUの方がGPUと比べて2割程度レンダリングが速くなります。
(過去記事「【3DCG初心者向けパソコン】使用パーツ&ベンチマーク編【Corei5-10400F&GTX1650】」を参照ください)

余談ですが、こちらのシーンをGTX1650レンダリングする場合、レンダリングプレビュー画面を表示した状態でレンダリングをすると、ビデオメモリ不足のためエラーが出てしまっていました。

しかし、RTX3050はビデオメモリが2倍の8GBになったため、プレビュー画面を表示した状態でレンダリングしても余裕がありエラーは出ませんでした。

したがって、RTX3050を使えばこれまでレンダリングできなかった、ハイポリ・高解像度テクスチャを使うことが可能になります。

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(2022/2/19追記)ビューポート表示が速い!

RTX3050に交換したことで、Blenderのレンダープレビューでのビューポート表示が圧倒的に速くなりました。

こちらは、Blender公式サイトで配布されている"Nishita sky"のデモファイル(300万△を超えるハイポリのシーン)ですが、高速にレンダリングされるため、リアルタイムでレンダリング結果を確認することができます。

ビューポートデノイズをON(Optixを使用)すると、ノイズによるザラつきを消すことができます。

まとめ

今回の記事のまとめを以下に記します。

RTX3050はBlender Cyclesでのレンダリングを、比較的低コストで高速化できるのでオススメです!

定価の39,800円で販売されるモデルはおそらく僅少のため、手に入れるのは難しいかもしれません。

ただし、価格.com等で探すと4万円台のモデルもあり(2022/2/6現在)、↑で書いたようにドスパラで定価品が手に入る可能性があるため、グラボを買い替えの際はご検討してみてはいかがでしょうか。

RTX3050性能まとめ

RTX3060のBlender Cyclesレンダリング性能は、5万円前後のGPUの中で最も高い。
RTX2060 Superと同等で、GTX1660Tiの2倍近く速い(Optix使用時)!

PCIe 3.0 x8接続でも、性能には影響ない

ゲーム性能はGTX1650と比べて+50%高い

Cyclesレンダリングする場合は、CPU+GPUよりもGPUのみの方が速い。
(RTX3050のみでも、Core-i5 10400F+GTX1650を組み合わせた場合と比べて2倍以上速い。)

ビデオメモリが8GBあるため、ハイポリ・高解像度テクスチャを使いやすい。

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